王道の中のテールを取りに行く私の選択
小さい市場の安定だけを取りにいくより、巨大市場のど真ん中に入ったうえで未競争のテールを押さえる方が、最終的なリターンも納得感も大きいと判断している。
背景と価値判断
私にとって「面白さ」と「リターン」は同義ではないが深く連動している。ニッチで安定した独占は確かに心地よく、短期的なストレスも少ない。だが長期的に自分を駆り立てるのは、規模が大きくポテンシャルのある問題を解く実感だ。だから王道に飛び込みつつ、内部の未占有領域を掘る。これが私が選ぶ戦略だ。
現実的摩擦と具体的な例
王道に入る決断は、実際には「参入コスト」「ラップアップ期間」「対人関係の摩耗」を伴う。
- 資金面の具体例: 必要なら保有株の一部(最大で20%相当)を売却して3,000万円を作り、初期6か月でエージェント5体と開発チーム2名分の運転資金に当てる予定。
- 時間の摩擦: 市場参入からテールを見つけて確立するまでに最低で9〜18か月の学習期間が必要。直近の黒字化は期待できない。
- 関係コスト: 共同創業者や既存顧客に対する戦略転換説明の負担。ロードマップ変更で信頼が削がれる可能性があり、再調整に人的リソースを割く必要がある。
- 実行リスク: 深い競争領域での正面衝突。大手資本が短期で機能を模倣してくるリスクは高い。
これらを踏まえ、私の中でフェーズを分けて行動する:踏み込む→テストで未占有ポジションを洗う→限定的にスケール。短期的な損失や摩擦を受け入れる代わりに、上振れの天井を確保する。
手順と関係調整
短期的にやることは明快で現実的だ。順序を守ることで無駄な摩耗を減らす。
- 3ヶ月で最小限のエージェント群を立ち上げ、既存の大手プレイヤーの行動観察に集中する(運用コストと学習コストを節約)。
- 次の6〜12ヶ月で内部の未占有ニッチを2〜3候補に絞り、顧客接点で実証する。
- 成果が出た領域に限定して追加投資し、正面衝突を避けつつ拡張する。
ここで、人間関係の代償は具体的だ。共同創業者がリスク回避的であれば、方針の擦り合わせに週1回の個別ミーティングと明示的なKPI(6か月以内の定量的な学習進捗)を導入し、信頼の再構築コストを可視化する。
拘束条件と逆選択
ただし、理性的な判断の下に一つの拘束条件を明確に置いている。もし「短期的に資金が尽きるリスク(6か月以内に黒字化か追加資金確保ができない)」が現実的に存在するなら、私はこの王道突入を止める。具体的には、流動性が枯渇しているか投資家との協議で追加資金が得られない状況なら、関係コストと時間的摩擦に耐えられない。そうした拘束がある場合、私は逆に小さな市場の安定路線——ニッチで早期に利益確定できるプロダクトに切り替える決断をする。理由は単純で、会社とチームを守るという現実的な制約が最優先だからだ。